今日は、令和3年度 第44問について解説します。
宅地建物取引業におけるおとり広告に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
①成約済みの物件を速やかに広告から削除せずに当該物件のインターネット広告等を掲載することは、おとり広告に該当する。
②実際には取引する意思のない実在する物件を広告することは、物件の内容が事実に基づくものである限り、おとり広告に該当しない。
③他の物件情報をもとに、賃料や価格、面積又は間取りを改ざんする等して実際には存在しない物件を広告することは、おとり広告に該当する。
④おとり広告は、宅地建物取引業法には違反しないが、不動産の表示に関する公正競争規約(平成17 年公正取引委員会告示第23 号)に違反する行為である。
解説
おとり広告等に関する問題です。
まとめシートでは、おとり広告について、以下の通り解説しています。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢①
成約済みの物件を速やかに広告から削除せずに当該物件のインターネット広告等を掲載することは、おとり広告に該当する
〇適切です。
取引の対象ではない物件や、取引の意思がない物件を広告することはおとり広告に該当しますが、成約済みの物件についても、実際には取引の対象ではないですよね。速やかに広告を削除せずに掲載し続けることは、おとり広告に該当することになります。よってこの選択肢は適切です。
選択肢②
実際には取引する意思のない実在する物件を広告することは、物件の内容が事実に基づくものである限り、おとり広告に該当しない。
×不適切です。
取引の対象ではない物件や、取引の意思がない物件を広告することはおとり広告に該当し、物件の内容が事実で、実在する物件であるかどうかは関係ありません。
つまり、実際には取引する意思のない実在する物件を広告することは、物件の内容が事実に基づくものであるかどうかにかかわらず、おとり広告に該当します。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢③
他の物件情報をもとに、賃料や価格、面積又は間取りを改ざんする等して実際には存在しない物件を広告することは、おとり広告に該当する。
×不適切です。
ここでもう一度、まとめシートの解説を確認してみましょう。
実際には存在しない物件を広告することは「虚偽広告」といいます。虚偽広告も、おとり広告と同様に禁止されていますが、宅建業法上では「おとり広告」と「虚偽広告」を区別して定義しています。
つまり、他の物件情報をもとに、賃料や価格、面積又は間取りを改ざんする等して実際には存在しない物件を広告することは、虚偽広告に該当します。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢④
おとり広告は、宅地建物取引業法には違反しないが、不動産の表示に関する公正競争規約(平成17 年公正取引委員会告示第23 号)に違反する行為である。
×不適切です。
広告を行う際は、宅建業法上の規制と不動産公正競争規約による規制それぞれを守らなくてはいけません。
おとり広告は、宅建業法上でも、不動産公正競争規約においても違反となり、禁止されています。
つまり、おとり広告は、宅地建物取引業法に違反するとともに、不動産の表示に関する公正競争規約(平成17 年公正取引委員会告示第23 号)に違反する行為です。
よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢①となります。
この問題は、宅建業法上の広告の規制に関するものですが、広告に関する規制については、宅建業法、不動産公正競争規則、さらに賃貸住宅管理業法上の定め(誇大広告等の禁止)もあり、混乱しないよう、学習する際にどの法に基づく規制なのかを意識して整理おくと良いかもしれませんね。
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